【テンプレート配布】リスティング広告未配信案件のシミュレーション作成方法

作成日:2019/11/18

【テンプレート配布】リスティング広告未配信案件のシミュレーション作成方法

代理店にお勤めなら「今度新規事業を考えてるんだけど、リスティング広告出したときのシミュレーション作って」なんて言われたこと、一度はあるのではないでしょうか。わたしはよくありました。今もたまにあります。このような相談が仕事につながることは、ほとんどないので個人的には、したくない作業です。

また、大抵こういうことを言う広告主は、問い合わせから商談が◯%、商談からの成約は◯%、1件あたりの売上がいくらみたいな情報を持っていなかったり考えてもいなかったりしますし(逆に考えているなら、その数字を使って計算するだけだから自分でできるんですよね)。困ってしまいます。

とはいえ、そう言っていても何も進まないので、なんとかしようと思って作ったのが今回のシミュレーションシートです。


実際のところは、シミュレーションシートというよりは、検討のためのたたき台に近いのですが、仮に

  • このクリック率
  • このコンバージョン率
  • この商談設定率
  • この受注率なら、毎月これくらいの受注が望めて、
  • 1件あたりこの売上高で、
  • 1件あたりの変動費がこれくらいで
  • 1ヶ月の固定費がこれくらいなら、どうなるか

を検討できるものを作りました。


使い方の想定としては、とりあえずわかる数字から埋めて、優先したいところから先に決めていきつつ、結果を見ながら、どうにかできそうな部分の少し数字を変えてみる、といった作業を繰り返すことになると思います。

そして、得られた結果が現実的な範疇であれば、配信を始めてみて、なるべく試算に近くなるように努力してみたり、実際の配信結果に合わせて試算をし直してみたりという作業を繰り返すことになります。


一方、試算の段階で、例えばCVRが50%じゃないと赤字だったり、累積で黒字になるのは5年後、というような結果出た場合、そして他の数字はもう譲れない(これ以上値段を高くできない、とか、固定費をこれよりは下げられない、など)場合は、抜本的な見直しが必要ということがわかります。

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目次

ステップ0:シミュレーションシートの見方

まずは、こちらのシートの見方をご説明します。

シミュレーションシート

こちらのシートは大きく3つのセクションに分かれていて、それぞれ、

 ◯左上のオレンジ色のセクション:成約や経営に関する数字を入力・計算するパート
 ◯左下の水色のセクション:広告に関する数値やキーワードプランナーの結果を入力・計算するパート
 ◯右の黄色のセクション:売上・利益などが計算されるパート

となっています。

また、セルの色分けは、

 ◯薄緑色のセル:任意の内容を入力するセル
 ◯ねずみ色のセル:自動計算されるセル

となっています。


作成の流れとしては、【広告セクション】をキーワードプランナーで取得したデータと、ご自身の運用勘に基づいて作成したら、その結果をもって広告主と相談をしながら【ビジネスセクション】の数字を埋めてみて、その結果を見ながら【広告セクション】と【ビジネスセクション】の両方の数値を調整していくのが良いと思います。

ステップ1:キーワードプランナーからのデータ取得

ここでは、キーワードプランナーがなにかとか、どうやって使うのかなどは他に説明しているサイトがたくさんあるので省略させてもらいます。

一応、キーワードプランナーの使い方のヘルプへのリンクを貼っておきます。

■ キーワードプランナーについて|Google広告ヘルプ


あ、でも、キーワードプランナーに関する質問に、いくつか先回りしてお答えしておきます。

Q:「キーワードプランナーが見つからないのですが」
A:管理画面が「エキスパートモード」になっているかどうかご確認ください。

Q:「検索ボリュームが xxx ~ x,xxx のような幅がある数字です。正確な数字を知る方法を教えてください」
A:キーワードプランナーはある程度以上の配信をしているアカウントでないと幅のある数字しか表示されないようになりました。基準は非公開ですが、Googleのプログラムが判断していますので、少しだけ配信してみるなどの、小手先の手段でどうこうなるものではありません。あきらめるか、基準を満たしているアカウントの管理者に依頼して見せてもらいましょう。

Q:「このキーワードは部分一致ですか?完全一致ですか?」
A:基本的には完全一致と考えて問題がないと思います(ボリュームの数字をわたしが判断した結果です。Googleには未確認です)。が、実際のところは、入札価格や品質によって表示回数が大きく左右されますので、あまり気にしすぎないほうが良いと思います。


キーワードプランナー

キーワードプランナーのキーワード候補を表示させたら、「キーワード候補をダウンロード」します。

ビジネスの提供先を限定している場合などで、配信先を地域で限定したいなら、青枠の「地域:日本」をお好みの地域に変更してからダウンロードしてください。

ステップ2:キーワードプランナーのデータを貼り付け

ダウンロードした.csvファイルのうち使うのは、
 ◯Keyword
 ◯Avg. monthly searches
 ◯Top of page bid (high range)
の3列です。

キーワードプランナーのデータ

「Top of page bid (high range)」と「Top of page bid (low range)」の違いですが、ほぼ、品質の差ととらえてもらえれば良いと思います。つまり、品質によって、同じ掲載位置に掲載した際のクリック単価が異なりますが、品質が低い状態でページ上部に掲載するには「Top of page bid (high range)」くらいの金額が必要で、反対に品質が高ければ「Top of page bid (low range)」くらいの金額ですむという試算です。high rangeを使っているのは、こちらで見積もっておけば、品質を高めれば高めるだけシミュレーションより余裕ができ、実際の運用がしやすくなるためです。


ダウンロードした.csvのデータのうち、不要なキーワードを削除して、残ったものをシミュレーションシートのキーワード候補の部分に貼り付けてください(図のオレンジ色の枠の部分)。

広告セクション

次に、図の青枠の部分の、
 ◯インプレッションシェア
 ◯クリック率
 ◯コンバージョン率
の数値を入力します。


このあたりは色々な情報を参考にしながら設定していくことになります。代理店でしたら、似たアカウントの配信を参考にすると良いでしょう。情報がない場合は、とりあえずそれっぽい数字をアテるしかありません。

とりあえず、BtoCなら、
 ◯クリック率:5% から 10%くらい
 ◯コンバージョン率:5% から 20%
程度。
BtoBなら、
 ◯クリック率:5% から 10%くらい
 ◯コンバージョン率:1% から 5%
程度から始めることが多い気がします。


ここを入力すると、1ヶ月間の広告費やCV数、CPAなどが算出されます。この段階で、例えば、広告費がものすごい金額になるとか、CPAが、対象となるキーワードで検索したときに広告を表示している競合他社の料金の50%を超えている場合などは根本的に難しい可能性があるので、クリック単価が高いキーワードを削ったり、コンバージョン率をもう少し頑張れないかを考えるなど、再検討が必要だと思います。


また、このシミュレーションシートでは、クリック単価は「Top of page bid (high range)」と検索ボリュームの加重平均で計算し、クリック率は全キーワードで共通としていますが、各キーワードごとにクリック率を想定して、各キーワードごとにクリック単価×クリック数を計算したほうがより正確な試算になると思います。わたしはそこまではする必要がないと思っているのでそこまではしませんが(なぜなら品質によって配信結果はがらっと変わってしまうので)。

ステップ3:ビジネスセクションの入力

ここまで来たら、広告主を訪問したり、事業会社の方でしたら指示をした上司のところへ行き、ビジネスセクションの数字を埋めていきましょう。

ビジネスセクション

右の方に表も用意しています。ビジネスセクションの各数値を変更すると表も自動的に変わりますので、単月で黒字になるのはいつか、累積で黒字になるのはいつか、などをご確認頂けます。個人的には、問い合わせから入金までの平均期間を加味していて、リード獲得から入金までのタイムラグも反映している点が、かなり他のシミュレーションシートとは異なるところかなと思っています。入金までの期間が短くなるとその分赤字の回収が早くなるのことがものすごくわかりやすいですね。

試算表

【試算セクション】の数値は、名前のとおりなのですが、数式を見てもらえれば何を計算しているかはわかると思いますので、割愛します。

ステップ4:数値調整の方法

最後に、シミュレーションの結果の調整方法をご紹介します。


広告費が多すぎる場合

「クリック数を減らす」か「クリック単価を下げる」かいずれか、または両方で調整します。

「クリック数を減らす」ためには、「インプレッションシェアを下げる」か「キーワードを減らす」のいずれか、または両方を実施します。表示回数が減少することになるので、クリック数も減少し、結果として広告費も減少します。また、単純に「クリック率を下げる」ことでも調整できます。ただしこの場合、CPAは変わらないもののコンバージョン数も減少するので、限界利益に注意する必要があります。

次に、「クリック単価を下げる」ためには、比較的検索ボリュームが大きくて「Top of page bid (high range)」が高いキーワードを削除します。この際、削除したキーワードの検索ボリュームによっては広告費が減りすぎてしまう可能性がありますので、そのような場合はインプレッションシェアを高めて調整します。この場合はCPAも改善されますが、コンバージョン数も減少しますので、限界利益には注意が必要です。


CPAが高すぎる場合

「コンバージョン率を高める」か「クリック単価を下げる」かいずれか、または両方で調整します。

シミュレーション上で「コンバージョン率」を高めるのは簡単ですが、現実的な範囲に収まっていることを確認しましょう。

「クリック単価を下げる」ためには、前述の通り、キーワードを減らすことで対応します。


コンバージョン数が少ない場合

「コンバージョン率を高める」か「クリック数を増やす」か「表示回数を増やす」かいずれか、または全てで調整します。

前述の通り、「コンバージョン率を高める」のは簡単ですが、現実的な範囲に収まっていることを確認しましょう。

「表示回数を増やす」には、「キーワードを増やす」か「インプレッションシェアを高める」かいずれか、または両方で調整することができます。インプレッションシェアを高めすぎると実際の配信では予想外にクリック単価が高くなることがあるので、その点は注意が必要です。

「クリック数を増やす」には、表示回数を増やす他に、「クリック率を高める」ことでも調整可能です。繰り返しになりますが、クリック率が現実的な範囲に収まっていることを確認してください。


その他、売上や利益に関する部分は、広告運用というよりは会計の話題になるので、この記事では割愛いたします。まぁ、関係する数字を増やしたり減らしたりするだけなのですが。

ところで、「どうせキーワードプランナーを使うんだったら、キーワードプランも作ればもっと正確な試算ができるんじゃないの?」と思われた方。そのとおりです。が、Yahoo!スポンサードサーチの試算だったり、他の広告手法でも使えるように、汎用的なものになればと思っています。

まとめ

さて、今回は、わたしがリスティング広告未配信のビジネスに関しての試算をする際に使っているシートを公開しました。繰り返しになりますが、ポイントとしては、広告配信については品質が低かった場合の推定でかなり保守的にしているという点と、また、このシートはあくまで「このくらいのクリック率で、このくらいのコンバージョン率で、このくらいの商談設定率で、このくらいの成約率だったら、このくらいのお金になる」という数字を可視化して、ビジネスを考えるたたき台という位置づけとなりますので、これで得られた数字を目指して配信をしようとしたり、ましてやこの数字をコミットさせるような物ではありません。


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